急性鼻副鼻腔炎とは、「急性に発症し、発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患」と定義されています。当院では、急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版をもとに診断、治療、説明を行っています。
鼻処置、鼻ネブライザーの重要性、抗生剤の内服を開始するタイミングなどについて解説します。
鼻鏡あるいは内視鏡を使って、鼻内を観察します。
鼻水の性状、量を診断したり、アレルギーがないか、鼻茸(ポリープ)や腫瘍(できもの)ができていないかなども確認します。
写真は、粘膿性中等度以上の鼻漏です。
口腔内から確認できる程、鼻漏がみられます(後鼻漏)。咳嗽(せき)、痰(たん)、のどの違和感などの原因となります。
急性副鼻腔炎は、「かぜ」の後におこります。
原因菌は中耳炎同様、肺炎球菌、インフルエンザ菌などで、近年、抗生剤が効かない耐性菌が増えています。
診断
当院では、急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版を利用して診断し、説明しています。
①症状と鼻水の状態をみて、軽症~重症を診断します。
②補助的に、レントゲン検査、内視鏡検査等を行う場合があります。
治療
①まず、鼻みずの吸引でバイ菌の量を減らします。その後、抗生剤等の吸入(ネブライザー)で直接バ
イ菌をやっつけます。副作用の少ない治療でもありますので、頻回に治療すると症状も軽くなり、早く
治りやすいです。
②中等度~重症の急性副鼻腔炎には抗生剤を投与します。症状に応じて、抗生剤を変更したり、増量し
たりします。
効果ない場合は、鼻水の細胞、菌を調べることがあります。
急性期が過ぎて3か月以上症状が続く場合、「慢性副鼻腔炎」と診断します。その際は、マクロライドと
いう抗生剤を1~3か月間少量投与します。抗生剤を長く使用して不安を感じられるかもしれませんが、
通常量の半分で、薬剤耐性化(抗生剤が効かなくなる)もありませんので安心してください。
Q1 鼻の吸引、ネブライザーは効果ありますか。
回答 鼻みずの吸引は、鼻の中のバイ菌の量を直接減らすことができる有効な治療法です。自宅での
鼻みずの吸引もお勧めしています。
また、ネブライザーについても、抗生剤を含んだ吸入液を使用しているため、直接鼻の中のバ
イ菌を攻撃できる有効な治療法の一つです。
Q2 鼻の吸引、ネブライザーに毎日来てもいいですか。
回答 当院では、1回1回の処置を丁寧に行い、鼻の粘膜の腫れを抑えるお薬や重症度に応じて抗生剤
を併用することで、できるかぎり通院回数の少ない医療を目指しています。
しかし、症状が改善せず、鼻づまりで眠れない、のどに鼻水が流れ(後鼻漏)咳がひどいなど
症状が強い場合は、いつでも来院してくださいと説明しています。毎日でも構いません。実際、
内服治療をしながら、毎日処置に通院されるお子さんはいます。日に日に症状がよくなることを
お母様方は実感されるようです。また、薬が飲めない生後1、2か月の赤ちゃんを毎日連れてこら
れるお母様もいます。夜泣きが少なくなったり、ミルクをよく飲むようになったりとお母様が特
に喜ばれます。
Q3 自宅では、病院のようにうまく吸えませんが、何かコツがあるのですか。
回答 安全にこまめに吸引してあげてください。吸引器は市販のもので結構かと思います。特別なも
のを使用したり、無理なことをしたりして、鼻出血などがあれば大変です。こまめにが一番大事
だと思います。発熱などなく全身状態がよければ、ゆっくりお風呂で体を温めてあげるのもひと
つです。鼻水はでやすく、吸引しやすくなります。
Q4 熱もないのに、副鼻腔炎だけで抗生剤は必要ないと言われました。本当ですか。